アンチョビに使われるカタクチイワシとはどんな魚なのでしょうか。漢字で書くと「片口鰯」と書き、鰯の字を見てもわかるように、手でもさばけてしまうイワシの仲間の魚です。成魚になると10〜20cmほどになり、アンチョビに使われるのは10cm前後のものです。背中側は青みがかった灰色で、お腹の側が銀色に輝く白色をしていてウロコのはがれやすい魚です。口が大きく、普通魚は目の下まで口が開くのに対して、カタクチイワシは頭の下まで口が大きく開きます。海面近くに広範囲な群れをなす魚で、北海道から西太平洋沿岸まで分布しています。大きな口を広げて動物性プランクトンを食します。
生き物に役立つカタクチイワシ
カタクチイワシ自身は海鳥やカツオやサメなどの肉食の魚や、イルカやクジラなどの哺乳類、そして私たち人間などに食べられ、食物連鎖でも大事な魚といえます。春と秋に産卵することが多く、卵が水中を浮遊しながら孵化し、ものすごい早さで成長します。地引き網などで漁獲され、鮮度のいいものは生で刺身にして食べられますが、他の魚に比べて傷みも早いために早めに加工されます。日本で一番多い利用法は煮干ですが、干物にするにも鮮度が大切なので、水揚げされると加工場などはとても忙しくなります。こうして傷みやすいカタクチイワシを日本では煮干、イタリアやスペインなどではアンチョビにすることで、少しでも保存期間を長くして食べていけるように加工したのですね。傷みやすい魚を保存するための知恵は今でも受け継がれているのです。